見えない錆が一番怖い|WX350とインナープロテクションで中空部を防錆する方法
2026年3月24日
車検でリフトアップしたとき、整備士がチェックするのは主に下回りの外側です。フレーム内部やサイドシルの中まではなかなか見えません。外側の塗装はきれいなのに、サイドシルを切り開いたら中がボロボロだった――そんな事例は珍しくありません。
中空部の錆は外から見えないまま進行します。気づいたときには板金ごと交換が必要になり、修理費が跳ね上がるケースも。この記事では、フレーム内部やサイドシルなど「車の中空部」に特化した防錆方法を解説します。
中空部はなぜ錆びるのか
車のボディには、サイドシルやピラー、フレームメンバーなど、鉄板が袋状に閉じた構造がたくさんあります。こうした中空部が錆びやすい理由は3つあります。
- 水抜き穴からの水侵入 — 走行中の水しぶきや洗車水が、ドレンホールや隙間から内部に入り込む
- 乾きにくい構造 — 袋状になっているため通気性が悪く、一度入った水分がなかなか蒸発しない
- 結露の発生 — 気温差で中空部の内壁に結露が起き、常に湿った状態が続く
外側のアンダーコートがどれだけ万全でも、中空部は別の話です。内側から腐食が進み、ある日突然サイドシルに穴が開く。融雪剤を使う地域では、塩分を含んだ水が内部に侵入するため進行がさらに早くなります。
中空部の防錆に使う製品
中空部の防錆には、浸透性の高い専用製品を使います。外側用のアンダーコート(UBC-R2896やHB2700など)とは役割が異なります。
WX350 10L
インナープロテクション 420ml
インナープロテクション 4L
WX350 — プロの広範囲施工に
ワックス系の浸透性防錆剤で、容量は10L。低臭タイプなので、室内での作業でも臭いが気になりにくい設計です。マルチ防錆スプレーガンIIを使って広範囲に噴霧できるため、業務として複数台を施工するプロショップに向いています。
インナープロテクション — 浸透性と持続性のバランス
薄白色半透明のワックス系防錆剤です。420mlスプレー缶と4Lの2サイズがあります。最大の特徴は浸透性の高さ。金属表面に深く染み込み、内部から防錆膜を形成します。耐熱温度は160℃。表面が乾燥しないタイプなので、時間が経っても柔軟性を保ち、鉄板の膨張・収縮に追従します。
420mlスプレー缶にはノズルが付属しており、DIYでも手軽に使える点が魅力です。
WX210 — 狭い場所へのピンポイント施工
WX210 500ml(63cmロングノズル付属)
低臭・高粘度タイプの防錆ワックスで、容量は500ml。63cmのロングノズルが付属しており、小さな穴からフレーム内部に直接噴射できます。ノズルに柔軟性があるので、曲がった経路でも奥まで届きます。スプレー缶1本で部分的な施工を行いたい場合に便利です。
製品比較
| WX350 | インナープロテクション | WX210 | |
|---|---|---|---|
| タイプ | ワックス系浸透性防錆剤 | ワックス系浸透性防錆剤 | 防錆ワックス(高粘度) |
| 容量 | 10L | 420mlスプレー / 4L | 500ml |
| 特徴 | 低臭、広範囲施工向け | 高浸透性、表面乾燥しない | 低臭、高粘度、63cmロングノズル付 |
| 耐熱 | — | 160℃ | — |
| 色 | — | 薄白色半透明 | — |
| 向いている用途 | プロ施工で複数台を効率よく処理 | サイドシル・ピラー内部の防錆 | 狭所へのピンポイント施工 |
なお、外側用のUBC-TW1600は耐熱200℃で表面が乾燥するタイプです。下回りの外側を半透明に防錆したい場合はTW1600、中空部の内側にはインナープロテクションという使い分けが基本になります。
施工すべき中空部の一覧
車には見えない袋状構造が数多くあります。中空部防錆で重点的に施工すべき箇所を挙げます。
| 部位 | なぜ錆びやすいか |
|---|---|
| サイドシル(ロッカーパネル内部) | 路面に近く水しぶきを浴びやすい。水抜き穴から水が侵入し、内部に滞留する |
| ドア内部 | 窓の隙間から雨水が入る。ドア下部に水が溜まりやすい構造 |
| フレームの袋状構造 | クロスメンバーやサイドメンバーの内部。通気性がほぼゼロで結露が起きやすい |
| ボンネット・トランクの縁 | 鉄板が折り返された部分(ヘミング部)に水分が溜まる |
| ピラー内部(A/B/Cピラー) | ルーフからの雨水が伝わりやすい。特にBピラー下部は水が集中する |
これらの部位は外側をどれだけきれいに防錆処理しても、内側が無防備なら意味がありません。中と外、両方からの防錆で初めて完全な対策になります。
中空部への施工方法
プロ向け:マルチ防錆スプレーガンII + WX350
マルチ防錆スプレーガンII
マルチ防錆スプレーガンIIにWX350を充填し、ロングノズルを装着して施工します。サイドシルやフレームメンバーには水抜き穴やグロメット穴があるので、そこからノズルを挿入して内部全体に防錆剤を行き渡らせます。
WX210用の63cmロングノズルは柔軟性があり、穴の位置が直線上になくても奥までノズルを通せます。フレーム内部の袋状構造には、このロングノズルが特に有効です。
施工手順
- リフトアップし、施工部位の水抜き穴やグロメット穴の位置を確認する
- 穴の周辺を清掃し、ゴミや泥を取り除く
- ロングノズルを穴から挿入し、できるだけ奥まで差し込む
- ノズルを引き抜きながら防錆剤を噴射する。内壁全体に行き渡るよう、ノズルの向きを変えながら行う
- 余分な防錆剤が穴から垂れてくるので、下にウエスを敷いておく
- ドア内部はドアの下端にある水抜き穴から施工する
DIY向け:インナープロテクションスプレー 420ml
スプレー缶タイプなら、エアガンや特別な工具がなくても施工できます。付属のノズルを取り付けて、水抜き穴からスプレーするだけです。
420mlスプレー1本でドア2〜3枚分が目安。サイドシルやピラーも含めて1台分を施工する場合は、複数本を用意してください。4Lタイプを購入してスプレーガンで施工するほうが経済的です。
よくある質問
インナープロテクションとTW1600の違いは?
TW1600は耐熱200℃で表面が乾燥するタイプです。下回りの外側を半透明に防錆したい場合に使います。インナープロテクションは耐熱160℃で浸透性が高く、表面が乾燥しないタイプ。フレーム内部やサイドシル内部など、中空部の防錆に特化しています。表面が乾燥しないことで、鉄板の隙間や合わせ目にも浸透し続けるのがメリットです。
どのくらいの頻度で施工すべき?
融雪剤が散布される地域や海沿いの塩害地域では、1〜2年ごとの再施工をおすすめします。それ以外の地域では、車検ごと(2年に1度)が目安です。リフトアップする機会に合わせて、下回りの外側防錆と一緒に中空部も施工するのが効率的です。
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