見えない錆が一番怖い|WX350とインナープロテクションで中空部を防錆する方法

車検でリフトアップしたとき、整備士がチェックするのは主に下回りの外側です。フレーム内部やサイドシルの中まではなかなか見えません。外側の塗装はきれいなのに、サイドシルを切り開いたら中がボロボロだった――そんな事例は珍しくありません。

中空部の錆は外から見えないまま進行します。気づいたときには板金ごと交換が必要になり、修理費が跳ね上がるケースも。この記事では、フレーム内部やサイドシルなど「車の中空部」に特化した防錆方法を解説します。

中空部はなぜ錆びるのか

車のボディには、サイドシルやピラー、フレームメンバーなど、鉄板が袋状に閉じた構造がたくさんあります。こうした中空部が錆びやすい理由は3つあります。

  • 水抜き穴からの水侵入 — 走行中の水しぶきや洗車水が、ドレンホールや隙間から内部に入り込む
  • 乾きにくい構造 — 袋状になっているため通気性が悪く、一度入った水分がなかなか蒸発しない
  • 結露の発生 — 気温差で中空部の内壁に結露が起き、常に湿った状態が続く

外側のアンダーコートがどれだけ万全でも、中空部は別の話です。内側から腐食が進み、ある日突然サイドシルに穴が開く。融雪剤を使う地域では、塩分を含んだ水が内部に侵入するため進行がさらに早くなります。

中空部の防錆に使う製品

中空部の防錆には、浸透性の高い専用製品を使います。外側用のアンダーコート(UBC-R2896やHB2700など)とは役割が異なります。

WX350 10L

インナープロテクション 420ml

インナープロテクション 4L

WX350 — プロの広範囲施工に

ワックス系の浸透性防錆剤で、容量は10L。低臭タイプなので、室内での作業でも臭いが気になりにくい設計です。マルチ防錆スプレーガンIIを使って広範囲に噴霧できるため、業務として複数台を施工するプロショップに向いています。

インナープロテクション — 浸透性と持続性のバランス

薄白色半透明のワックス系防錆剤です。420mlスプレー缶と4Lの2サイズがあります。最大の特徴は浸透性の高さ。金属表面に深く染み込み、内部から防錆膜を形成します。耐熱温度は160℃。表面が乾燥しないタイプなので、時間が経っても柔軟性を保ち、鉄板の膨張・収縮に追従します。

420mlスプレー缶にはノズルが付属しており、DIYでも手軽に使える点が魅力です。

WX210 — 狭い場所へのピンポイント施工

WX210 500ml(63cmロングノズル付属)

低臭・高粘度タイプの防錆ワックスで、容量は500ml。63cmのロングノズルが付属しており、小さな穴からフレーム内部に直接噴射できます。ノズルに柔軟性があるので、曲がった経路でも奥まで届きます。スプレー缶1本で部分的な施工を行いたい場合に便利です。

製品比較

WX350インナープロテクションWX210
タイプワックス系浸透性防錆剤ワックス系浸透性防錆剤防錆ワックス(高粘度)
容量10L420mlスプレー / 4L500ml
特徴低臭、広範囲施工向け高浸透性、表面乾燥しない低臭、高粘度、63cmロングノズル付
耐熱160℃
薄白色半透明
向いている用途プロ施工で複数台を効率よく処理サイドシル・ピラー内部の防錆狭所へのピンポイント施工

なお、外側用のUBC-TW1600は耐熱200℃で表面が乾燥するタイプです。下回りの外側を半透明に防錆したい場合はTW1600、中空部の内側にはインナープロテクションという使い分けが基本になります。

施工すべき中空部の一覧

車には見えない袋状構造が数多くあります。中空部防錆で重点的に施工すべき箇所を挙げます。

部位なぜ錆びやすいか
サイドシル(ロッカーパネル内部)路面に近く水しぶきを浴びやすい。水抜き穴から水が侵入し、内部に滞留する
ドア内部窓の隙間から雨水が入る。ドア下部に水が溜まりやすい構造
フレームの袋状構造クロスメンバーやサイドメンバーの内部。通気性がほぼゼロで結露が起きやすい
ボンネット・トランクの縁鉄板が折り返された部分(ヘミング部)に水分が溜まる
ピラー内部(A/B/Cピラー)ルーフからの雨水が伝わりやすい。特にBピラー下部は水が集中する

これらの部位は外側をどれだけきれいに防錆処理しても、内側が無防備なら意味がありません。中と外、両方からの防錆で初めて完全な対策になります。

中空部への施工方法

プロ向け:マルチ防錆スプレーガンII + WX350

マルチ防錆スプレーガンII

マルチ防錆スプレーガンIIにWX350を充填し、ロングノズルを装着して施工します。サイドシルやフレームメンバーには水抜き穴やグロメット穴があるので、そこからノズルを挿入して内部全体に防錆剤を行き渡らせます。

WX210用の63cmロングノズルは柔軟性があり、穴の位置が直線上になくても奥までノズルを通せます。フレーム内部の袋状構造には、このロングノズルが特に有効です。

施工手順

  1. リフトアップし、施工部位の水抜き穴やグロメット穴の位置を確認する
  2. 穴の周辺を清掃し、ゴミや泥を取り除く
  3. ロングノズルを穴から挿入し、できるだけ奥まで差し込む
  4. ノズルを引き抜きながら防錆剤を噴射する。内壁全体に行き渡るよう、ノズルの向きを変えながら行う
  5. 余分な防錆剤が穴から垂れてくるので、下にウエスを敷いておく
  6. ドア内部はドアの下端にある水抜き穴から施工する

DIY向け:インナープロテクションスプレー 420ml

スプレー缶タイプなら、エアガンや特別な工具がなくても施工できます。付属のノズルを取り付けて、水抜き穴からスプレーするだけです。

420mlスプレー1本でドア2〜3枚分が目安。サイドシルやピラーも含めて1台分を施工する場合は、複数本を用意してください。4Lタイプを購入してスプレーガンで施工するほうが経済的です。

よくある質問

インナープロテクションとTW1600の違いは?

TW1600は耐熱200℃で表面が乾燥するタイプです。下回りの外側を半透明に防錆したい場合に使います。インナープロテクションは耐熱160℃で浸透性が高く、表面が乾燥しないタイプ。フレーム内部やサイドシル内部など、中空部の防錆に特化しています。表面が乾燥しないことで、鉄板の隙間や合わせ目にも浸透し続けるのがメリットです。

どのくらいの頻度で施工すべき?

融雪剤が散布される地域や海沿いの塩害地域では、1〜2年ごとの再施工をおすすめします。それ以外の地域では、車検ごと(2年に1度)が目安です。リフトアップする機会に合わせて、下回りの外側防錆と一緒に中空部も施工するのが効率的です。

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