飛び石対策チッピングコートの塗り方|ACC3000・SBS3000の選び方と施工方法
2026年3月24日
高速道路を走った翌日、フェンダーやロッカーパネルに小さな塗膜の欠けを見つけたことはありませんか?
走行中に前方車両が跳ね上げた小石が塗膜を直撃し、点状に剥がれる「チッピング」。放置すると欠けた箇所から水分が入り込み、塗膜の内側でじわじわと錆が進行します。気づいたときには塗膜がボコッと浮き上がり、板金修理が必要になることも珍しくありません。
この記事では、飛び石ダメージを未然に防ぐチッピングコート剤 ACC3000 と SBS3000 の違い、正しい塗り方、部位別の選び方を解説します。
チッピングコートとは — アンダーコートとの違い
チッピングコートとアンダーコートはどちらも車の下回りを保護する塗膜材ですが、目的が異なります。
| チッピングコート | アンダーコート | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 飛び石による塗膜の欠け防止 | 防錆(錆の発生を抑える) |
| 上塗り塗装 | 可能(上塗り前提の設計) | 製品による(不可のものもある) |
| 使用部位 | ロッカーパネル、フェンダー下部、ドア下部など外装に近い箇所 | フロア、フレーム、タイヤハウスなど下回り全般 |
| 仕上がり | 梨地〜凹凸テクスチャ(塗装の下地として) | 防錆膜として完結 |
つまり、チッピングコートは「飛び石から塗膜を守り、その上から塗装で仕上げる」ための下地材です。新車の製造ラインでもロッカーパネルやフェンダーアーチにはチッピングコートが施されています。補修や再塗装の際にも、この工程を省くと飛び石で再び塗膜が欠けてしまいます。
ACC3000 と SBS3000 — 2製品の比較
ACC3000
SB S3000
| ACC3000 | SB S3000 | |
|---|---|---|
| タイプ | ハイソリッド(高固形分) | スタンダード |
| 硬化乾燥 | 指触乾燥 20〜35分(非常に速い) | やや遅め |
| 皮膜の特性 | 硬化後は強固な耐久皮膜を形成。ピンホールができない | 若干柔らかい仕上がり(耐震性・吸音性を考慮) |
| 接着性 | 鋼板・プラスチックへの高接着性 | 鋼板への接着性良好 |
| 耐塩害(ソルトスプレー試験) | 皮膜のみ: 480時間クリア / 皮膜+塗装: 720時間クリア | — |
| 色 | ブラック / オフホワイト | ブラック / ホワイト |
| 容量 | 1L | 1L |
| 向いている用途 | 上塗り塗装前提の本格施工。速乾性を求める現場向き | 耐震性・吸音性も兼ねたい箇所。ホンダNシリーズ推奨品 |
ACC3000はハイソリッドタイプで固形分が多く、薄膜でも高い飛び石耐性を発揮します。乾燥が速いため作業効率が良く、プロの板金塗装工場で広く採用されています。ソルトスプレー試験では皮膜単体で480時間、上塗り塗装後は720時間をクリアしており、防錆性能も十分です。
SBS3000は硬化後の皮膜がやや柔らかく、振動を吸収する性質があります。走行中のロードノイズや小石の衝撃を柔軟に受け止めるため、吸音・制振効果を兼ねたい場合に適しています。
チッピングコートを施工する部位
飛び石の被害を受けやすい箇所を中心に施工します。
- ロッカーパネル(サイドシル外面) — 前輪が跳ね上げた石が最も当たりやすい部位
- ドア下部 — ロッカーパネルと同様、飛び石の直撃を受ける
- フロントスカート — 車体前面の下端。走行中に正面から石を受ける
- フェンダー下部・フェンダーアーチ — タイヤが巻き上げた砂利が直撃する
- タイヤハウス — 飛び石・泥・融雪剤のすべてが集中する過酷な環境
板金補修の場合は、パテ成形・サフェーサーの後、上塗り塗装の前にチッピングコートを施工します。この工程を入れることで、補修後も純正同等の飛び石耐性が得られます。
施工方法 — UBSピストルでの塗布手順
チッピングコートの施工にはUBSピストル(エアガン)を使用します。
準備
- 施工面の油分・ホコリをシリコンオフ等で除去し、十分に乾燥させる
- 施工しない部分(窓、モール、ブレーキ周り)をマスキングテープと養生紙で保護する
- UBSピストルにカートリッジをセットし、エアホースを接続する
塗布
- エア圧は5キロ(0.5MPa)以下に設定する。圧が高すぎると飛散して均一に塗れない
- 施工面から20〜30cm離してトリガーを引く
- 一方向に塗ったら、次は直角方向(クロス)に重ね塗りする。これで均一な膜厚が得られる
- 1度の塗布で膜厚1mmを超えないこと。厚塗りすると乾燥不良やクラックの原因になる
- 凹凸テクスチャの粗さはノズルの調整とエア圧で加減する
乾燥と上塗り
ACC3000の場合、指触乾燥は25〜35分後。この時間内であればそのまま上塗り塗装が可能です。ただし、それ以上時間が経つと皮膜がプラスチック化(完全硬化)して塗料の密着が悪くなります。完全硬化後に上塗りする場合は、プライマーを塗布してから上塗りしてください。
SBS3000も同様にUBSピストルで施工できます。皮膜が柔らかめに仕上がるため、テクスチャがなだらかになりやすい特徴があります。
ホンダNシリーズにはSBS3000が推奨品
メーカーのQ&A情報によると、ホンダNシリーズ(N-BOX、N-WGN、N-ONEなど)のチッピングコートにはSBS3000が推奨されています。
Nシリーズは軽自動車の中でも販売台数が多く、板金補修の需要も高い車種です。純正チッピングコートの質感に近い仕上がりを求める場合は、SBS3000を選択してください。
よくある質問
硬化後の皮膜が柔らかいのですが、問題ありませんか?
SBS3000は耐震性・吸音性を考慮して、硬化後もやや柔らかい皮膜になるよう設計されています。飛び石の衝撃を柔軟に受け止めるための特性なので、正常な仕上がりです。硬い皮膜が必要な場合はACC3000をご検討ください。
ACC3000の上塗りタイミングは?
指触乾燥後の25〜35分後がベストタイミングです。この時間内であればそのまま上塗り塗装が密着します。35分を大幅に超えると皮膜がプラスチック化して塗料が乗りにくくなるため、完全硬化後に上塗りする場合はプライマーを塗布してから塗装してください。
チッピングコートとアンダーコートの違いは?
チッピングコートは飛び石から塗膜を守ることが主目的で、上塗り塗装を前提に設計されています。ロッカーパネルやフェンダーなど外装に近い部位に使います。アンダーコートは防錆が主目的で、フロアやフレームなど下回り全般に施工します。両者は目的が異なるため、部位に応じて使い分けるのが正解です。
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