トラック・積載車の荷台防錆ガイド|錆転換から上塗りまでの正しい手順
2026年3月24日
トラックや積載車の荷台は、荷物の積み下ろしで塗膜に傷がつきやすく、雨水が溜まりやすい構造をしています。走行中の振動で微細なクラックが入り、そこから水分が浸透して錆が広がっていく――荷台は車体の中でも特に錆の温床になりやすい部位です。
荷台の錆を放置すると、鉄板が痩せて強度が落ち、最悪の場合は荷物を載せたときに床が抜ける危険もあります。この記事では、荷台の防錆に適した製品の選び方と、錆転換から上塗りまでの正しい施工手順を解説します。
荷台の部位別・製品の選び方
荷台といっても「積載面(上面)」と「裏面・フレーム」では求められる性能が違います。それぞれに適した製品を選ぶことが重要です。
Teroson SB S3000
UBC-R 2896
錆転換剤RS 500ml
荷台の積載面(上面)には SBS3000
荷台の積載面には、チッピングコート剤のSBS3000を推奨します。SBS3000は完全硬化するため、荷物の積み下ろしによる摩擦や衝撃に耐えられます。硬化後はやや柔らかい仕上がりになりますが、これは耐震性と吸音性を兼ね備えた設計によるものです(後述のFAQも参照)。上塗り塗装も可能なので、荷台の色に合わせた仕上げができます。
実際にQ&Aでも「積載車の荷台に使う防錆剤」としてSBS3000が案内されています。
荷台の裏面・フレームには UBC-R2896 または UBC-HB2700
荷台の裏面やフレーム部分は、荷物が直接触れないため耐摩耗性よりも防錆性能を重視します。
- UBC-R2896 — ゴム質/樹脂系アンダーコート。完全硬化し、上塗り塗装が可能。荷台裏面からフレームまで幅広く使える定番品
- UBC-HB2700 — ビチューメン系。塩水噴霧試験1000時間クリアの高い防錆性能。塩害地域や海沿いを走るトラックに最適。ただし半乾燥タイプのため、荷台の積載面には不向き(表面がベタつくため荷物に付着する)
注意:木製の荷台床には使えません
平ボディトラックの中には荷台の床が木製のものがあります。木部の腐食は金属の錆とは原因が異なるため、SBS3000やアンダーコートでは対処できません。木製の荷台床には、木部用の防腐塗料メーカーに相談してください。
施工手順 — 錆転換から上塗りまで
ENDOX 錆転換剤RS 500ml(ハケ塗りタイプ)
荷台の防錆は「錆を止める → 下地を作る → 防錆剤を施工する」の順番が基本です。特に錆転換剤RSの上塗りは完全乾燥後にしか行えません。この順序を守らないと、塗膜の密着不良や剥がれの原因になります。
Step 1:荷台の洗浄・脱脂
荷台に付着した泥、油分、荷物の残留物を高圧洗浄で除去します。油脂が残っていると塗膜が密着しないため、脱脂は丁寧に行ってください。洗浄後は十分に乾燥させます。
Step 2:浮き錆を金ブラシで除去
浮いた赤錆を金ブラシやサンドペーパーで物理的に落とします。浮き錆が残ったまま錆転換剤を塗っても、奥まで転換しきれないことがあります。表面がザラつく程度まで錆を落とせば十分です。
Step 3:錆転換剤RSを塗布
赤錆が出ている箇所に錆転換剤RSを塗布します。500mlのハケ塗りタイプはピンポイントで使いやすく、荷台の部分補修に向いています。広い面積に施工する場合は400mlスプレータイプも選択肢です。
塗布後、タンニン成分が赤錆を安定した黒錆に化学変換します。表面が黒く変色したら2度塗りすると防錆効果が高まります。
Step 4:完全乾燥後、足付けからプラサフ
錆転換剤RSが完全に乾燥するまで待ちます(気温20℃前後で2〜3時間、低温時は4〜6時間以上)。完全乾燥を確認したら、不織布研磨剤やサンドペーパーで軽く足付けし、プラサフ(プライマーサーフェーサー)を吹きます。この工程が上塗りの密着を左右する重要なステップです。
Step 5:SBS3000 または UBC-R2896 を施工
荷台の積載面にはSBS3000を、裏面・フレームにはUBC-R2896をそれぞれ施工します。エアガンを使用する場合は20〜30cm離して均一に吹き付けてください。推奨膜厚は0.5〜1.0mm。厚塗りしたい場合は一度に厚く塗らず、0.5〜1mm塗って乾燥させてから重ね塗りします。
Step 6:必要に応じて上塗り塗装
SBS3000もUBC-R2896も完全硬化後に上塗り塗装が可能です。荷台の色に合わせたい場合や、さらに耐久性を高めたい場合は上塗りを検討してください。
SBS3000 vs アンダーコート — 荷台用途の比較
荷台にはどの製品が合うのか、用途別に比較します。
| SBS3000 | UBC-R 2896 | UBC-HB 2700 | |
|---|---|---|---|
| 種類 | チッピングコート剤 | ゴム質/樹脂系アンダーコート | ビチューメン系アンダーコート |
| 硬化 | 完全硬化 | 完全硬化 | 半乾燥 |
| 硬化後の質感 | やや柔らかい(耐震性・吸音性) | 硬い | 弾力あり |
| 上塗り塗装 | 可能 | 可能 | 不可 |
| 耐塩害 | ○ | ○ | ◎ |
| 荷台の積載面 | ◎(推奨) | ○ | ×(ベタつく) |
| 荷台の裏面 | ○ | ◎(推奨) | ◎(塩害地域) |
積載面はSBS3000、裏面・フレームはUBC-R2896が基本の組み合わせです。塩害地域で裏面の防錆を強化したい場合のみUBC-HB2700を選んでください。
よくある質問
荷台の木の床に SBS3000 やアンダーコートは使えますか?
使えません。木部の腐食は金属の錆とはメカニズムが異なります。木製の荷台床には、木部用の防腐塗料メーカーに相談してください。SBS3000やアンダーコートは金属面専用です。
SBS3000 は硬化後に柔らかいですが問題ありませんか?
問題ありません。SBS3000は耐震性と吸音性を確保するために、硬化後もやや柔軟性が残る設計です。荷物の積み下ろし時の衝撃を吸収し、振動による塗膜のクラックを防ぐ効果があります。完全に硬化しており、ベタつくことはありません。
厚塗りしたい場合はどうすればいいですか?
1回の塗布は0.5〜1mmに抑えてください。一度に厚く塗ると、表面だけ乾燥して内部が固まらない「乾燥不良」の原因になります。0.5〜1mm塗布したら十分に乾燥させ、その上に重ね塗りしてください。2回塗りで1〜2mmの膜厚を確保できます。

