車検でリフトアップしたとき、整備士がチェックするのは主に下回りの外側です。フレーム内部やサイドシルの中まではなかなか見えません。外側の塗装はきれいなのに、サイドシルを切り開いたら中がボロボロだった――そんな事例は珍しくありません。
この記事では、フレーム内部やサイドシルなど「車の中空部」に特化した防錆方法を解説します。
中空部はなぜ錆びるのか
- 水抜き穴からの水侵入 — 走行中の水しぶきや洗車水が内部に入り込む
- 乾きにくい構造 — 袋状になっているため通気性が悪く、水分がなかなか蒸発しない
- 結露の発生 — 気温差で中空部の内壁に結露が起き、常に湿った状態が続く
外側のアンダーコートがどれだけ万全でも、中空部は別の話です。内側から腐食が進み、ある日突然サイドシルに穴が開きます。
中空部に使う現行候補
インナープロテクション — 内部防錆向けの現行商品
インナープロテクションは、ドア内部・フレーム・サイドシルなど外から見えにくい中空部の内部防錆向けとして案内されています。商品ページには420mlスプレー(ロングノズル付)と4Lが掲載されています。
| 選択肢 | 判断する場面 | 施工前に確認すること |
|---|---|---|
| 420mlスプレー(ロングノズル付) | スプレー缶で中空部へ施工する場合 | 穴の位置、ノズルの届く範囲、周囲への飛散、材料の使用方法 |
| 4L | 容器から設備へ移して施工する場合 | 対応する容器・ガン・ホース・ノズルと、材料資料に記載された施工方法 |
| 別材料を検討する場合 | 既存皮膜、車両指定、施工目的が現行候補と合わない場合 | 現行販売・適合・在庫を個別確認し、旧製品や別用途の材料を現行品として扱わない |
インナープロテクションの成分や適合、設備との組み合わせは、対象部位と使用する材料を伝えたうえで最新の製品資料を確認してください。
施工すべき中空部の一覧
| 部位 | なぜ錆びやすいか |
|---|---|
| サイドシル内部 | 路面に近く水しぶきを浴びやすい。水抜き穴から水が侵入 |
| ドア内部 | 窓の隙間から雨水が入る。下部に水が溜まりやすい |
| フレームの袋状構造 | 通気性がほぼゼロで結露が起きやすい |
| ボンネット・トランクの縁 | 鉄板の折り返し部に水分が溜まる |
| ピラー内部 | ルーフからの雨水が伝わりやすい |
部位から材料・ノズル・設備を選ぶ
中空部は、部位と穴の位置を確認してから材料と道具を決めます。ノズルの名称だけで噴射範囲や適合を決めず、車両側の構造と部品資料を揃えてください。
| 判断の順番 | 確認すること | 相談前に揃える情報 |
|---|---|---|
| 1. 部位 | ドア、サイドシル、フレーム、ピラーなど。水抜き穴・グロメット穴の位置 | 車種・年式、穴の位置、点検できる範囲、周囲の部材 |
| 2. 材料 | 内部防錆向けか、外側の厚膜材か。既存皮膜と施工目的 | 材料名、既存皮膜の状態、上塗りの有無、車両側の指定 |
| 3. ホース・ノズル | 穴へ届く長さ、曲げ方、対応する容器・ガン | 使用するノズル・ホースの品番と、材料資料に記載された組み合わせ |
| 4. 噴射方向 | 先端からか、周囲へ広がる方式か。部材に当て続けないか | 部品資料の噴射方向を確認する。すべてのロングノズルを360度噴射対応とは扱わない |
| 5. 容器・設備 | スプレー缶か、4L等を対応設備へ移すか | 容器、ガン、ホース、ノズル、清掃方法、周囲の養生 |
中空部への施工方法
ガン施工:材料・容器・ホースの対応を揃える
4Lタイプをガンで施工する場合は、使用する容器・ガン・ホース・ノズルの対応を製品資料で確認します。材料名と部品の品番を揃え、確認した組み合わせで施工してください。
施工手順
- リフトアップし、施工部位の水抜き穴やグロメット穴の位置を確認する
- 穴の周辺を清掃し、ゴミや泥を取り除く
- 対応するノズルを穴から入れ、部材に当てたり無理に押し込んだりしない位置で止める
- ノズルを引き抜きながら防錆剤を噴射する
- 余分な防錆剤が穴から垂れてくるので、下にウエスを敷いておく
- ドア内部はドアの下端にある水抜き穴から施工する
スプレー缶で施工する場合
スプレー缶タイプは、対応ノズルを取り付けて水抜き穴などから施工します。施工量は部位、材料、ノズル、噴射方法で変わるため、1本あたりの施工範囲を一律に決めず、製品資料と施工対象を照合してください。
よくある質問
中空部にはどの材料を選べばいい?+
中空部の内部防錆には、現行商品ページでドア内部・フレーム・サイドシル向けとして案内されているインナープロテクションが候補です。部位、既存皮膜、使用するノズルや設備を確認し、施工前に製品資料と照合してください。
再施工はいつ判断すべき?+
一律の年数では決めず、点検時に水抜き穴やグロメット周辺、内部へ入れた材料の状態を確認します。融雪剤、洗車水、使用環境、既存皮膜の劣化が見られたら、部位と材料を整理して施工店やメーカーへ相談してください。