指触乾燥と完全乾燥を分ける
指触乾燥は表面を軽く触れたときの状態を示す試験値で、塗膜全体の乾燥とは別の指標です。次の塗装、車両を戻す、洗車するなど、作業目的ごとの許可時間を示しているとは限りません。
工程表には「指触」と「完全乾燥」を別の欄に記録し、追加塗布や上塗りの判断に使う値を取り違えないようにします。資料に書かれていない走行・洗車開始時間を乾燥値から計算して補わないでください。
| 製品 | 指触乾燥の目安 | 完全乾燥の目安 | 測定条件の読み方 |
|---|---|---|---|
| UBC-HB 2700 | 約120分 | 約10時間 | 20℃・1mm厚 |
| UBC-R 2896 | 約45分 | 約120分 | 20℃・65%RH・600μm |
| UBC-HB 5700 | 約75分 | 約3.5時間 | 指触・完全乾燥とも25℃・0.6mm |
| UBC-RR 2000 | 約5分 | 約60分 | 指触・完全乾燥とも25℃・1mm |
参照:UBC-HB 2700 製品カタログ、UBC-R 2896 製品カタログ、UBC-HB 5700 製品カタログ、UBC-RR 2000 製品カタログ
異なる膜厚の数字を同条件の順位にしない
HB2700は20℃・1mm厚、R2896は20℃・65%RH・600μmで記載されています。膜厚も湿度も異なるため、「R2896のほうが何分早い」と数字だけを比べても、同じ条件での差を示すことにはなりません。
HB5700は25℃・0.6mm、RR2000は25℃・1mmの条件で示されています。4製品の温度や膜厚、湿度が揃っていないため、乾燥時間だけを並べて速さの順位をつけず、それぞれの条件を表と一緒に読みます。
工程表には製品名、温度、湿度、膜厚、指触か完全乾燥かをセットで転記します。現場条件が違う場合は、その条件をメーカーに伝えて乾燥状態と次工程を確認します。
R2896は自然乾燥を守る
R2896カタログは、強制乾燥させると縮む場合があるため自然乾燥するよう記載しています。短縮したいからと、ヒーターを当てる・熱源の近くへ置くといった独自手順は加えません。
上塗りする場合は完全乾燥後が指定されています。2液塗料を使用するときは適切なプライマーが必要です。乾燥時間に達しても、対象塗料やプライマーの指定が整っているかは別に確認します。
作業枠は待ち時間と確認点で組む
複数工程の予定では、吹付け時刻、材料名、気温・湿度、塗布厚、次工程、製品資料上の乾燥条件を記録します。製品値の時間が経過したことだけで、次工程へ進む判断を自動化しないようにします。
HB2700は表面乾燥後もわずかにタックが残ると資料にあります。触感だけで完全乾燥や使用再開を判断せず、材料の注意事項を共有して仕上げ・移動の段取りを組みます。
- 指触乾燥と完全乾燥の欄を分ける
- 現場温度・湿度と塗布厚を記録する
- 上塗り条件は塗料側の指定も照合する
- 走行・洗車可否は別の根拠を確認する
資料条件と合わないときは確認する
低温、厚塗り、通風不足などでカタログ条件と現場が異なる場合は、対象製品・塗布厚・現場温湿度・次工程をメーカーへ伝えて確認します。掲載時間だけを保証値として扱わず、余裕を持った作業枠を確保します。
確認結果と使用した資料の版を工程表に残します。複数の材料を使う現場では、材料ごとに乾燥開始時刻と次工程を記録し、開始時の条件だけから終業時刻を見積もらないようにします。
HB5700の指触乾燥約75分・完全乾燥約3.5時間は25℃・0.6mm、RR2000の約5分・約60分は25℃・1mmで示されています。塗布厚が違えば同じ材料でも乾き方が変わるため、予定する膜厚が資料条件と合うかを確認します。
乾燥を待っている間に別の工程を進める場合は、材料名と施工範囲を作業札へ書き、触れてよい面を取り違えないようにします。作業の完了条件は乾燥値だけでなく、製品に指定された次工程の条件と合わせて決めます。
