シーラー

車のシーラーとは?種類・選び方・塗り方|自動車補修用シームシーラー

さざ波シーリング

車のシーラーとは、ボディパネルの接合部や隙間を密閉し、水や埃の侵入と腐食を防ぐ自動車補修材です。施工箇所や求める柔軟性、仕上がりに合わせて種類とノズルを選びます。

板金修理の仕上がりを大きく左右するシーラー。パネルの合わせ目に純正同等のシーリングが施されているかどうかで、修理の品質は一目でわかります。

この記事では、TEROSON MS9320SF と ENDOX A-SMP8700 の違い、さざ波状シーリングの作り方、ノズルの選び方、施工工具の使い分けまで、プロの現場で求められるテクニックをまとめました。

MS9320SF vs A-SMP8700 — 2大シーラーの違い

どちらも自動車補修用の1液湿気硬化型シーラーですが、ベースポリマーが異なるため仕上がりの特性が変わります。

MS9320SFA-SMP8700
ベースポリマー変成シリコン(MSポリマー)変成ポリマー(SMP)
色展開ベージュ・グレー・ブラックベージュ・ホワイト
硬化タイプ1液湿気硬化1液湿気硬化
硬化速度速乾タイプ標準的
硬度(ショアA)30中程度
特徴柔軟な仕上がり。さざ波シーリングに最適接着力が高い。弾性があり振動吸収に優れる
主な用途パネル合わせ目、ドア周り、さざ波シーリング構造接着を兼ねたシーリング、振動の多い箇所

選び方の目安として、純正のシーリングラインを再現するさざ波施工にはMS9320SF系が適しています。パネル接合部で接着力と弾性を両立させたい場合はA-SMP8700を選んでください。

冬場の施工は出しやすさと硬化条件を分けて確認

シーラーがガンから出にくい時は、材料名、材料の温度、容器とガンの適合、ノズルの状態を確認します。材料を出しやすくする調整と、施工後に硬化させる条件は分けて判断してください。

MS 9320 SFは湿気で硬化する材料で、硬化の進み方は温度・湿度・膜厚によって変わります。施工温度や加温方法は製品の指定条件を確認し、作業場の温湿度と施工した厚みも記録します。メーカーTDS

上塗りは表面の状態と塗装工程を確認

表面に皮膜ができた状態と、材料全体が完全に硬化した状態は分けて確認します。上塗りの開始条件、施工から空けられる期間、必要な前処理は、シーラーと塗料の組み合わせに沿って判断します。メーカーTDS

相談する際は、使用するシーラー、塗料、施工日時、温湿度、施工箇所をお知らせください。

仕上がりを合わせる前に決めること

補修前の形状を写真で記録し、シールの幅、山の高さ、施工する位置を確認します。その形状に対応する材料・ガン・ノズルを選び、工具の説明書に従って試し施工を行います。

確認したいこと記録する内容
仕上がりを揃えたい補修前の写真、幅、線引き・吹き付け・波模様の別
調整しても狙った肌にならない材料名、ガン・ノズル、吐出量、エア設定、距離
再開時に塊が出る中断時間、先端の状態、使用後の処理、工具の指定手順

詳しい工具選定は施工ガンの記事、ノズル選定はノズルの記事をご覧ください。

車両全体を施工する時は何本必要か

必要量を確認する時は、車両名だけでなく、施工する箇所と範囲、シールの長さや幅、使用する材料、施工方法を整理します。部分的な合わせ目の補修と、広い面への施工は条件が異なります。

施工箇所の写真と範囲を添えてお問い合わせいただければ、材料・容量・必要工具を確認するための情報を揃えられます。

さざ波状シーリングの作り方

純正車両のパネル合わせ目に見られる「さざ波」パターン。板金修理後にこれを再現するには、材料とガンに適合するフラット/ワイドストリーム系ノズルを使い、吐出量・エア・距離・移動を調整します。ウイングノズルは線引きや継ぎ目形状に使う部品で、さざ波用とは用途が異なります。

必要なもの

  • MS9320SF
  • 材料とガンに適合するフラット/ワイドストリーム系ノズル
  • 対応するエア式ガンと試し施工用の材料

手順

  1. 材料とガンに適合するフラット/ワイドストリーム系ノズルを選び、補修前の形状と製品資料を照合する
  2. 施工面の油分・ホコリを除去し、必要に応じてプライマーを塗布
  3. ガンのトリガーを一定の力で引きながら、パネル合わせ目に沿って等速で移動する
  4. 吐出量、エア、距離、移動速度を調整し、狙ったさざ波パターンに合わせる
  5. 塗布直後にヘラで整えたい場合は、硬化条件を製品資料で確認してから行う

ウイングノズルは線引きや継ぎ目形状の調整に使い、さざ波は適合するフラット/ワイドストリーム系ノズルとガンで再現します。

ノズルの選び方 — 用途別一覧

シーラーの仕上がりはノズルで決まります。同じシーラーでもノズルを変えるだけで全く違うビードが引けるため、用途に応じた選択が重要です。

ノズル種類ビード形状主な用途
スタンダードノズル(Teroson用)/クリップノズル(ENDOX用)丸ビード一般的なシーリング。隙間充填、接合部のシール
ウイングノズルかまぼこ型パネル合わせ目の純正再現。幅5〜13mm調整可能
ワイドストリームノズルII波模様幅広(約2〜10cm)新車同様の再現・サウンドダンパー再現
フラットストリームノズル波模様幅狭(約1.5〜5cm)新車同様の波模様の再現
45°ジョイントノズル角度付きビード奥まった箇所、手が入りにくい角度での施工

最も使用頻度が高いのはスタンダードノズル(Teroson用)/クリップノズル(ENDOX用)とウイングノズルの2種類です。この2本があれば、ほとんどの板金修理に対応できます。

施工工具 — テレスコープピストルとパワーラインII

シーラーのカートリッジをセットして使うエア式ガンには、主に2種類あります。

工具特徴向いている作業
パワーラインII押し出し力が高く、高粘度のシーラーも安定して吐出できるMS9320SFの線引き、さざ波シーリング
テレスコープピストルマルチプレス軽量設計で取り回しがしやすい。繊細なコントロールが可能MS9320SFの吹き付け、A-SMP8700の線引き、連続作業

高粘度のMS9320SFをしっかり押し出したい場合はパワーラインIIの押し出し力が頼りになります。一方、取り回しの軽さを重視する場面ではテレスコープピストルが便利です。両方を用意しておき、材料と作業内容で使い分けるのが理想です。

施工のコツ — 知っておきたいポイント

膜厚の目安

MS9320SFの膜厚は材料・ノズル・ガンの組み合わせと施工条件で変わります。目標の肌に合わせ、製品資料の指定を確認してノズルの移動速度や吐出量を調整します。

上塗り塗装時のプライマー

MS9320SFを塗った後に塗装する場合は、表面に皮膜ができた状態と材料全体が硬化した状態を分けて確認します。上塗りの開始条件やプライマーの要否は、シーラーと塗料の指定条件に従います。

  • 表面に皮膜ができた状態 — 使用する塗料の指定とシーラーの製品資料を確認して上塗りする
  • 硬化が進んだ状態 — 必要な前処理とプライマーを使用塗料メーカーの指定に従って確認する

塗装を始めるタイミング、塗装可能な期間、必要な前処理は、製品・塗料の指定条件を確認して判断します。

低温時の対処

材料が出にくい場合は、製品の指定施工温度・保管・加温方法、ガンと材料の適合、ノズルの状態を確認してください。MS9320SFの条件をA-SMP8700に転用しないでください。

施工テクニックを動画で見る

MS9320SFシーラー開封とテレスコピストルの使い方

線引き用シーラー MSP-7100(旧製品・参考) 開封方法とウイングノズルの使用方法

さざ波状テープ作成と実車施工

よくある質問

MS9320SFの特徴は?+
MS9320SFの特徴は、湿気で硬化するシーラーであること、材料と工具の組み合わせで仕上がりが変わることです。施工温湿度、膜厚、ガンとノズルの適合を製品資料で確認してください。
シーラーが完全に乾いた後のプライマーは何を使う?+
表面に皮膜ができた状態と、材料全体が完全に硬化した状態を分けて確認してください。上塗りの開始条件、前処理、必要なプライマーは、使用するシーラーと塗料の指定条件に従って確認します。
A-SMP8700がガンから出にくい場合は?+
製品の指定施工温度・保管・加温方法、ガンと材料の適合、ノズルの状態を確認してください。MS9320SFの条件をA-SMP8700に転用しないでください。
パワーラインII用のシーラーをテレスコープピストルで使える?+
使用する材料とガン、ノズル、用途(線引き・吹き付け・さざ波など)の適合を確認してください。カートリッジ容量が同じでも、どの組み合わせでも使えるとは限りません。

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